-
おててをぽん
作 ささかわ いさむ
絵 天明 幸子
発行所 Gakken保育園では手あそびをよくやります。その中でも、代表的で、かつ子ども達に人気があるのは、「グーチョキパー」の歌(正式名称を知りません)でしょうね。「♪グーチョキパーでグーチョキパーで何作ろう?何作ろう?♪」のあれですね。ご家庭でもされたことがあるのではないでしょうか。
この本は、手遊びにもってこいの絵本です。表紙をご覧になれば、この本で何が出来るのか一目瞭然。そうです、手をおくことによって、一つの絵が完成するという遊びなのですね。「♪右手はパーで、左手はグーで♪」の右手の部分にイラストがあるということです。
絵本を見てもらったら早いのですが、みなさん想像してみてください。ホットドッグを完成するには、どのように指を使いますか?そうです、ホットドッグの絵があって、そこに一本だけ指を置くと完成!ということですね。この他にも、おにぎりができたり、メガネになったり、あるいは傘に早変わりと、どのページも子ども達が楽しく遊べるイラストがいっぱいです。みなさんも、ぜひ親子で試してみてください。
私は遊びを自分で考えるタイプなので、この手遊びも何かないかと考えて、園児の前でやったことがあります。「♪右手はグーで左手はパーで♪」(と、ここで右手で左手をパーンと叩き)「坊や、なかなかいいパンチもってるじゃぁないか・・・♪ボクサー、ボクサー♪」。あまり通じませんでした。(園長)2017年11月8日
本の紹介
-
おつきみおばけ
作・絵 せなけいこ
発行所 ポプラ社
みなさん、お月見してますか?ちなみに今年の中秋の名月は10月4日(水)です。そう、明日です!そして、満月になるのは10月6日(金)。十五夜と満月の日がずれるのはよくあることですが、いずれにせよ楽しみですよね。お月さま、見られるかなぁ私はせなけいこさんの絵本が大好きなのです。絵があまり上手ではないから、ちぎり絵でやっているとご本人は言っていましたが、いえいえどうして。この雰囲気はせなさんしか出せませんよね。
ある夜のこと、うさぎちゃんが泣いているのを、おばけが見つけました。「なくんじゃ ないよ、うさぎちゃん。ぼくがあそんであげるから。ほーら、みてごらん。きれいな おつきさまだよ」と、やさしいおばけはなぐさめてあげました。今夜は十五夜のお月見の日。すすきをおばけがかざろうとすると、うさぎちゃんが「あーん、おだんごがなくちゃいやだ!あーん・・・」と泣いてしまいました。そこでおばけは、おだんごにばけてあげました。けれど、おだんごがおいしそうにみえたうさぎちゃんは、かじってしまいます・・さぁ、おばけはどうなる!
せなさんの絵本には『ねないこだれだ』を筆頭に、おばけがよく出てきますよね。ドラキュラが出てくるのもありました。でも、どれもが愛らしい。絵本の面白さを広げてくれた作家さんです。私も以前、園だよりの表紙で「ちぎり絵」の連載を1年間やりました。せなさんみたいに、なりたかったからです(もちろん、無理でしたけど)。(園長)
2017年10月3日
-
からだ♡あいうえお
文 中川ひろたか
絵 佐々木一郎
原案 吉澤穣治
発行所 保育社6月と言えば何でしょう。梅雨?それ以外では何がありますか。そうです、歯ですよ、歯の健康習慣です!虫歯になると、おいしいものも食べられません。楽しく、健康になりましょう。
この絵本は面白いですよ。アイウエオ順に体のことについて、詳しく説明されています。例えば「あ」は「あしは だいにの しんぞうだ」という見だしのもと、かわいらしいイラストが描かれています。佐々木さんのイラストが全ページとてもかわいらしいんです!そして、文章はあの中川ひろたかさん。え、ご存知ありませんか?でも「はじめの一歩」「世界中のこどもたちが」の作詞家であり、絵本『おおきくなるっていうことは』などたくさんの作者、と言えばご存知ですよね。ですから、文章が面白いのは当たり前。かわいい絵とユーモアあふれる文章で、楽しく、いつの間にか体に興味がわいてきます。ちなみに「い」は「いちょうがげんきでいいちょうし」と、このようにいい感じで進んでいきます。
さぁ、いよいよ「は」です。どのような言葉で「歯」を紹介しているのでしょうか。「はいは からだにさんそを おくります」・・・。あれっ?すみません、よく読んでみたら「歯」のこと書いていませんでした・・・。でも、体について詳しくなれる、おすすめの一冊なのはホントです!2017年6月13日
-
いっさいはん
さく・え minchi
発行所 岩崎書店「1年間って早いですよね」という言葉を繰り返している内に、いつの間にか年をとり・・・なんて事になってしまいがちな、私たちの毎日。だって毎日やることがたくさんあって、時間がないんだもの、という気持ちもよく分かります。だからこそ、子どもたちにもつい「はやく、はやく」とせかしてしまうんですよね。ホントは今を楽しみたいと思うのになぁ・・。今回はそのような私たちの気持ちにぴったりの絵本です。この本では「いっさいはん」の生態?についてイラストで詳しく述べられています。ページをめくって見てください。「あぁ、これ、うちの子だよ」というイラストが必ずありますから。しかも、笑えます。
そうなんですよね、育児、あるいは子どもって笑えるんですよね。ついつい忘れてしまいますが、子どもとの毎日って楽しいし、もっともっと笑ってもいいんですよね。この本を読むと、クスッと笑いながら、色々な事を考えたり、思い出したりしますよ。3月は卒園・修了の季節です。あっという間の日々でした。でも過ぎ去ったばかりではありません。この本を読み、わが子を見て「あっという間だけど、中身が詰まった時間だったなぁ」という気持ちになったら嬉しいです。育児って、色々あるけどやっぱり楽しいですよね。え?うちの子はこれから「いっさいはん」ですって?・・・大変ですけど、笑いましょう!(園長)
-
おにたのぼうし
作 あまん きみこ
絵 いわさき ちひろ
発行所 岩崎書店2月と聞くと、やはり思うのは雪景色と節分ではないでしょうか(あと最近では恵方巻)。節分についてのお話を紹介したいと思い、今月はこの一冊。約50年間読まれ続けている、名作中の名作ですね。
節分の夜、物置小屋の天井にくろおにがいました。名前は「おにた」。とっても、気のいいおにで、人間の洗濯物をしまってあげたこともあります。でも、節分の夜は大変です。まめまきの音を聞いて、物置を出ていきました。でも、どこの家にも「ひいらぎの葉」(おにの目をさします)が飾ってあるので入れません。ところが、一軒だけ入れる家がありました。ところが、その家はお母さんが病気で寝込んでいて、ちいさい女の子が食べる物もないまま、看病しているのでした。おにたは、背中がむずむずして、じっとしていられなくなり・・・、
あまんさんの文章って、しみこみますよねぇ。このお話でもおにたの優しさがよく分かり、それだけに女の子の言葉に傷つく気持ちもよく分かります。けれど女の子も、お母さんを傷つけまいと、たくさん我慢しています。それだけに、おにたがきてくれて嬉しかったに違いありません。だけど、それなのに・・・あぁ、思いって何ですれちがうのでしょうねぇ。ぼうしで角をかくしたおにたの「おにだって、いろいろあるのに。おにだって・・」という言葉が、胸に余韻を残していきます。人は、人のどこを見て判断しているのか。今だから、なおさらこの本が読まれるべきなのかもしれません。(園長)
2017年2月13日
-
はじまりの日
作 ボブ・ディラン
絵 ポール・ロジャース
訳 アーサー・ビナード発行所 岩崎書店1月も10日を過ぎて、日常の生活が戻ってきましたね。お正月気分が抜けるどころか、お正月なんてあったかな、という気持ちになるほど、いつも通りの生活となりました。でも、その時に忘れてしまったのが、新年に感じた「特別な1日」という思いではないでしょうか。そのようないつもの日常に戻った私達に、振り返る目を与えてくれるのが、今回の絵本『はじまりの日』です。著者はボブ・ディランさん。昨年、ノーベル文学賞を受賞したことで話題になりましたね。日本でもファンは多いですが、同時に「ディラン?誰?」という反応もありえるでしょう。一言で説明するのは難しいので、ぜひ曲を聞いてみてください。『はじまりの日』の原題は”FOREVER YOUNG”です。これはディランさんが息子が誕生した時に、願いを込めて作った曲です。ですから歌詞には父親としての個人的な思いが込められているのですね。でも、読んでみると多くの子ども達に届いてほしい言葉が並んでいます。こちらも、ぜひ読んで確認してみてください。
翻訳というのは大事ですね”FOREVER YOUNG”を「はじまりの日」と訳すセンスを私は持ち合わせていません。これはアメリカ生まれで、日本で詩作活動を続けているビナードさんならではでしょう。「毎日が きみの はじまりの日」という言葉を読むと、日常が少し新鮮に感じられてきます。
ぜひ、ディランの曲を聞きながら、親子で読んでみてください。聞いて、読み進めるうちに、じわりとしみ込んでくる名曲と名作です。(園長)
2017年1月12日
-
この世界の片隅に
作 こうの史代
発行 双葉社現在、映画もヒット中ですので、ご存知の方も多いかもしれません。舞台は広島の呉。浦野すずは結婚して、北條すずと名前が変わりました。新しい生活が始まり、旦那さんの北條周作とも仲良く暮らしていました。ところが、呉の街にも徐々に戦争の影響が色濃く出始めてきて・・・。
少々のんびり屋さんのすずの目を通して、人々が戦争という事態においても、日々の生活を丁寧に、そして一生懸命に過ごしている姿が丹念に描かれています。それ故に、愛しい日常の生活、そして家族が失われていく場面では言葉を失ってしまいます。こうのさんの本は私も大好きで、以前には園だよりで『夕凪の街、桜の国』を紹介したこともありました。読むたびに、発見があるこうのさんの本はすごいですね。
戦争の本と聞くと身構えてしまいます。でも、この本を読むと戦争の悲しさと、日常の愛しさのどちらも感じることが出来ます。子ども達と、笑って過ごしていける平凡な日常がどれほどありがたいものか。日々の忙しさの中、なかなか、そのことに気づくことは出来ません。だからこそ、そのことを教えてくれるこの本は大切だと思うのですね。
12月8日は、お釈迦さまのおさとりの日でした。そして太平洋戦争が始まった日でもあります。命の尊さを考えるのに大切な日です。年末になり、平和を考えて、そして新たな一年を迎える。そのような師走の読書にぴったりの一冊です。(園長)2016年12月28日-
アルプスの少女ハイジ 心を照らす100の言葉
発行所 いろは出版株式会社当園の園だよりには「本、だ~いすき」という絵本などを紹介するコーナーがあります。園長がずっと書いているのですが、この度連載100回を迎えました。100号にふさわしい本は何か、ずっと迷っていました。その結果、選んだのがこの本です。「アルプスの少女ハイジ」は1974年に放映された名作アニメです。今から40年以上前の作品ですが、今もって人気があるのがすごいですよね。そこには原作のすばらしさに加え、アニメのクオリティの高さがあるのでしょう。
この本はハイジの名場面をバックに、世界の偉人たちの言葉が100紹介してあります。私も名言集はたくさん持っていますが、その中でもこの本は読みやすく、内容があります。アニメの名場面と、世界の名言がお互いに高めあっている?のですね。例えばハイジとペーターが手を取り合って踊るオープニングのシーンには「人が豊かであるか、貧しいかを決めるのは、その人の持ち物ではなく、その人の人柄である」との言葉が紹介されています。そして物語のクライマックスである、クララが歩くシーンには「すばらしい愛があるところには、いつも奇跡が起こる」という言葉です。
いい言葉を聞くと、世界の見方が一変しますよね。どのページを開いても、背中を押してもらえる一冊です。(園長)
2016年11月10日
-