本の紹介
おおきな おおきな木
作 よこた きよし
絵 いもと ようこ
発行所 金の星社
絵 いもと ようこ
発行所 金の星社
絵をみれば、一発でいもとさんの作品であることが分かります。名作『くまのこうちょうせんせい』でもそうでしたが、動物たちを主人公にしながら、人の心の機微を描くのが本当にうまいですよね。今回は絵に徹していますが、これがまたよこたさんの文とあうのです。
おおきな、おおきな木がありました。その木にはおおきな穴があいていたのです。そして、そこにはたくさんの動物たちが訪れて、休んでいくのです。あるときは、かんかんでりの中をかけてきたウサギ。あるときは、大雨でずぶぬれになったキツネ。ある時は、年老いて自分の役割は終わったと悩むクマなど、多くの動物がおおきな木のもとにやってきます。そして、大きな穴で休んで元気を取り戻していくのでした。
そのようなある時、今度は人間の「たびのわかもの」が訪れます。若者には悩みがありました。「ぼくが ほんとうに やりたいことって なんだろう」。旅につかれた若者は木の穴のなかで、すぐに眠ってしまいます。そこで若者に夢の中から語りかける声が聞こえてきたのです・・・。
成長は早ければいいという訳ではありません。教育もそうですよね。人がのびてゆくには何が一番大切なのか、私達も今こそ若者と同じように声を聞いていかねばなりません。これからも続く成長を支えるものは何か。この絵本は3月に読むのに、とてもふさわしいと思うのです。
2021年3月18日