本の紹介
『黒グルミのからのなかに』
作 ミュリエル・マンゴー
絵 カルメン・セゴヴィア
訳 とき ありえ
発行所 金の星社
絵 カルメン・セゴヴィア
訳 とき ありえ
発行所 金の星社
ポールという男の子が、漁師村の近くの小さな家に、お母さんと2人で住んでいました。ところが朝起きて、胸騒ぎがします。いつもなら台所に立っているお母さんの姿がないのです。母さんはベッドにいました。母さんは言います。「わたしは、もうすぐ死ぬわ」。動揺するポールにお母さんは続けます。「死神よ。あの人の王国にわたしをつれにくるの」。
ポールが薬を買うために浜辺を歩いていると、何と死神に遭遇という衝撃の展開!さらにポールはお母さんを連れていかせないために、死神のカマ(上の表紙参照)をうばい、その柄で死神を叩くというこれも衝撃の展開!死神は柄をさけようとして、その度に小さくなっていきました。そして小さくなった死神を黒グルミの中に押し込んで閉じこめたのです。家に帰ると、母親は元気になっていました。よかった、問題解消!と思いきや、村中で異変が・・・
誰がポールの行動を非難できるでしょうか。大切な母親を守るために起こした行動なのですから。しかし、ポールはそれよりも大切なことにまだ気づかなかったのです。ポールから話を聞いた母親が言います。「あなたは、いきているものがもつ、ただひとつのおきてをないものにしてしまったのよ」と。ポールは死神を探しに行きます。そこで下した究極の決断は?重い!でも、ポールと共に「いのちのながれ」を考えていける秀作です!