本の紹介
未来のだるまちゃんへ
作 かこさとし
発行所 文藝春秋
発行所 文藝春秋
明らかに絵本界にとって「巨星堕つ」というほどの出来事なのですが、そのように感じさせないのが、かこさんのお人柄なのでしょうね。今年の5月2日に、かこさんがお亡くなりになりました。92歳でした。かこさんのことは詳しくなくても、『だるまちゃん』シリーズ、『からすのパンやさん』など作品はお読みなった方も多いでしょう。
今回紹介した本は、かこさんの自伝です。その中に、絵本に込められたメッセージ、そしてかこさんが絵本に取り組む姿勢が詳しく述べられています。どの頁を読んでも、そこには子どもたちを肯定する姿、そして生きることの喜びが述べられています。「だから僕は、子どもたちには生きることをうんと喜んでいてほしい。この世界に対して目を見開いて、それをきちんと理解して面白がってほしい。」など、子どもたちに投げかけるべき言葉を、たくさん教えてくれます。。
そのような子ども観を持ったのは、幼い頃の戦争の経験があるからでした。かこさんは言います。「僕は、いつか『戦争』を描いた絵本を出したい、出さなければ、と思い続け、何回も企画を立てては、自らボツにして、いまだに果たせずにいます。(中略)あと余命がどのくらいあるかはわからないし、果たして間に合うのかどうか。しかし、なんとしても間に合わせなければと思い続けているのです」。私たちは、どのようにかこさんの思いを継承できるでしょうか・・・
(園長)