本の紹介
かこさとし 『秋』
かこさとしさんと言えば、有名な作品がたくさんありますね。ざっとあげるだけでも、だるまちゃんシリーズや、『からすのパン屋さん』など次から次へと出てきます。でも、この本は少し特別です。かこさんが亡くなられた後に発見された、手書きの紙芝居だからです。
絵本でも述べられていましたが、かこさんは、季節では秋が好きだったそうです。空気が澄んでいたり、おいしい果物が食べられるからでした。でも、とてもいやな秋もあったのです。それは昭和19年。戦争が終わる1年前のこと。かこさんは18歳でした。
かこさんは、はたらいていた工場で盲腸炎(今でいう虫垂炎)にかかりました。そこで、お医者さんに手術してもらい、入院することになります。病室にはつきそいのおばさんがいました。ちょっと関西弁でいうイケズ(意地悪)な人です。
ある日、手術をしてくれた「おでこの先生」が戦争に行くことになります。「先生、どうかお元気でいてください」という手紙をわたしました。ところが、秋のある日、かこさんが病院から空を見ると日本軍の飛行機が墜落させられました。そこからパイロットが飛び降りたのですが、パラシュートが開きません。結局、そのパイロットは亡くなってしまいます。さらに、悲しいニュースは続き、イケズなおばあさんの悲しい秘密が分かったり・・・。
田尻徳風保育園では、この季節には戦争と平和を考えます。かこさんから私たちへのメッセージを、この絵本からぜひ聞き取り、継承していきたいものですね。
2023年8月8日